こころの劇場
全国各地の子どもたちを劇場に無料招待し、演劇の感動を届けたいという想いが込められた「こころの劇場」。今年は全国約140都市を巡り、50万人の子どもたちを招待する予定です。
その140都市の中には、今年1月に発生した能登半島地震、9月の奥能登豪雨により甚大な被害に見舞われた地域も含まれています。
10月31日には、石川県七尾市の「七尾市文化ホール」にて「こころの劇場」公演が行われ、『ふたりのロッテ』を上演。 七尾市文化ホールは、震災直後は避難所として利用されていましたが、その後、舞台設備の破損が判明し、一時は公演の実施が危ぶまれる状況に。そんな中、七尾公演の主催となる教育委員会の皆様や、劇場関係者など、地元の方々の「少しずつ日常を取り戻していきたい」、「子どもたちの楽しいひと時を」という思いが叶い、同作品の上演を実現することができました。
開演前の俳優とのミーティングでは、劇団四季取締役専務執行役員(一般財団法人舞台芸術センター 理事)の越智幸紀から、「被災された方々の生活が元通りになるまでには、まだまだ大変な時間が必要だと思います。『ふたりのロッテ』は、勇気、知恵、人とのつながりなどの大切なものが詰まったミュージカルです。この舞台が、少しでも子どもたちの心に残る一日となるようにと願っています」と、この公演に対する想いが共有されました。
澄み切った空の下、会場には七尾市のほか、近隣の志賀町、中能登町、珠洲市の子どもたち計26校約805名が来場。珠洲市の子どもたちが「こころの劇場」に来場するのは今回が初めてとなります。
ドキドキしながら開演を待つ子どもたちも、幕が上がると一気に作品の世界に夢中に。客席には楽しそうな笑い声や手拍子が響きます。物語終盤、ふたごのロッテとルイーゼが入れ替わりを告白するシーンでは、観ている子どもたちも息をのみ、真剣な眼差しで物語の行方を見守りました。カーテンコールの後、「こころの劇場」では、ロビーで子どもたちをお見送り。子どもたちは大興奮しながら、出演者に「楽しかった」と言いながら、笑顔で手を振り、帰路につきました。
関係者の皆さまからは「来年も待っています」という温かいお言葉をいただき、カンパニーは次の公演地に向けて出発しました。
これからも一般財団法人舞台芸術センターは、劇団四季とこの活動にご支援くださる企業や団体、行政の皆様と手を携え、日本全国の子どもたちに感動を届けてまいります。
>2024年度の活動記録マップはこちら(11月までの公演地が地図で表示されています)
七尾市教育委員会 教育長・八崎和美様
演技一つひとつにあがる子どもたちの歓声、音楽に乗せた手拍子。子どもたちが『ふたりのロッテ』に込められたメッセージと、それを伝えようとする劇団四季の皆さんの高いクオリティに魅せられました。夢のような世界のなかで、「元気」の充電ができました。素晴らしい舞台をありがとうございました。
中能登町教育委員会 指導主事・高柳稚香子様
奥能登では、子どもたちが生の舞台に触れる機会はなかなかありませんが、今日、劇団四季のプロの舞台を観て、子どもたちは、エネルギーを感じ、元気と感動をもらったようです。子どもたちの未来は、多くの可能性にあふれています。今日もらったエネルギーは、必ず、これからの人生を歩む彼らの心に広がっていくと思います。
中能登町立鳥屋小学校 6年・向 歩夢さん
とっても面白かったです。物語の中盤では、家族の想いが行き違いになってどうなるんだろうと思いました。最後はみんなが笑顔で幸せそうで良かったと思いました。
珠洲市立若山小学校・寺下祐樹先生
今年は、震災と豪雨の影響で恒例の学校行事ができない状況が続いていました。劇団四季の舞台を初めて生で観られるということで、今日まで、子どもたちがワクワクして待ち望んでいました。2時間かけてバスできましたが、子どもたちが舞台に圧倒されていましたね。学校行事としてみんなが一緒になって体験できたことは、とってもいい経験になったと思います。
珠洲市立飯田小学校・藤野結大さん
舞台を生で観たのは初めてです。七尾の会館にも初めてきました。みんなが歌いながら踊っていて、踊りのキレが凄くて、びっくりしました。物語も最後まで楽しくて、感動しました。